3月15日、大阪府枚方市淀川河川敷でランニングイベント”大阪run run run”が開催され、イベントドクターとして参加してきました。イベント詳細は下記。
http://osakarunrunrun.com/
大した事故もなく、無事終了することができました。
河川敷は寒かったです。。。
今回は上記についてです。
家庭医の特徴として近接性、包括性、継続性、協調性、説明責任といわれていたりします。簡単に説明しますと、
・近接性・・・医療にアクセスしやすいこと。受診しやすさのこと。
・包括性・・・あらゆる疾患に対応、複数の健康問題にも対応、個人の性格・歴史や家族背景、社会背景も尊重すること
・継続性・・・継続的に診察することでより、個人に特化した医療を行える
・協調性・・・患者、患者家族、そのほかの専門医、専門職と協働して診療を行う
・説明責任・・・状態、治療方針などを説明し、理解を得て、患者とともに意思決定を行うこと
といったところです。間違っていたらごめんなさい。
で、今回はこの包括的、継続的かつ効率的な医療の提供ということですが、上記のように記載すると「患者中心の医療」の要点とも重なるところがあります。では早速、事例をあげてみます。(フィクションです)
患者さんは91歳の女性で60代の娘夫婦と暮らしています。高血圧と老年性認知症、骨粗しょう症、関節リウマチの治療中です。日常生活はほぼ一人でこなすことができました。これらの問題を一人の家庭医がみていました。今回、肺炎が生じたため、入院したところ、認知症が悪化し、さらに寝たきりとなって退院してきました。
医学的には寝たきりになってしまったのでは、骨粗しょう症の薬を飲んでおく必要性に乏しいため、中止しました。そして、今度は床づれという問題が生じてきました。床づれ予防のためにエアマットを導入したり、すでにできてしまったところにはワセリンラップ処置を指示したり、頻繁に退位変換しましょうと指示しました。また、介護負担が急激に増加するため、ヘルパーにたくさん来てもらったり、デイ・サービスやショートステイを利用したほうが良いと考えられるので、早急にケアマネージャーにケアプランを新たに作成するようお願いしたりました。
その後もこの方は肺炎など繰り返しましたが、数年後に老衰のためにご自宅で看取ること(本人の希望だった)ができ、ご家族も納得されたようでした。
このようにこの事例は複数の健康問題をかかりつけの家庭医が淡々と対処していった例ですが、淡々と対処できることに家庭医の特性があるともいえます。また、ずっと継続してみてきたからこそ、家族やケアマネジャーとの連携をスムーズに行えたし、穏やかな最後をよく見知った医師とともに迎えることができたと考えらます。
以上、包括性と継続性についてなんとなくご理解いただけたでしょうか。