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院長ブログ

私の診療方針 かぜ

2015/06/08

私の診療方針を公開していこうと思います。そういえば、家庭医療の専門的スキル・知識についての更新も怠っていましたが・・・。それはおいておいて、まずはもっとも受診理由に多いもののひとつ、かぜ(急性上気道炎)について書きます。
あくまでも、個人的解釈にもとづく治療方針なので、ほかの医師は違う診療方針でも構いません。それに医療は日進月歩ですので、明日には診療方針が変わっているかもしれませんのであしからず。

まず、かぜとは一般に鼻水・鼻づまり・くしゃみ、のどの痛み、咳、痰などが同時期に生じる病気の総称をいいます。その原因のほとんどがウィルスによるものです。多いものでライノウィルス、アデノウィルスなどです。今話題のMERSのコロナウィルスもウィルスですね(感染対策などは厚生労働省のホームページが参考になります)。
コロナウィルスも含め、多くのウィルス感染症は治療薬を持ちません。ですので、抗生物質は効果なく、かぜに対し、処方してはならないと世界的に啓蒙されています。

かぜの多くの自然経過は感染後、2,3日で発症し、咽頭痛、その後、鼻水などの鼻炎症状、それが良くなったと思ったら、次いで咳、痰が出始めます。完全に治癒するのに平均21日ともいわれています。風邪薬を飲んだからといって早く治りもしません。

前述のように治療薬はなく、症状をおさえる対症療法のみとなります。
大人であれば、様々な薬を使用できます。わたしは喉の痛みには鎮痛薬(アセトアミノフェンやロキソプロフェン、ナプロキセンなど)を用います。
鼻汁、鼻閉、くしゃみには初期にはエフェドリンを用いることが多いです。これはあまり好きではない先生もいますが、実際に効果があるという研究結果もあります。処方は3日を最高としています。なぜかというと副作用、特に依存的になってしまうことなどが生じやすくなるからです。あまり長く続く場合は眠くならないタイプの抗アレルギー薬に切り替えたりします。
咳については中枢性鎮咳剤(脳に作用して咳をしずめる)薬はアメリカ胸部学会、アメリカ家庭医療学会などでも使うべきではないとされています。ですので、咳に効果があるとされるナプロキセンを処方することが多いです。ナプロキセンは消炎鎮痛薬でかぜによるさまざまな症状を軽減したという研究結果もあります。
痰には単純に去痰剤を処方します。
熱があれば、アセトアミノフェンを処方することが多いです。

また、希望であれば、漢方薬でも対症療法が可能DSC_0065です。代表的なものであれば、風邪全般に香蘇散や鼻水には小青龍湯などです。

お子さんとくに小学生以下の方にはアセトアミノフェンのような解熱剤のほかに風邪に対し、お薬を処方することはほとんどありません。

なぜなら、お子さんに対する咳止めや鼻水止め、去痰剤などは偽薬と比較して差がなかったという研究結果があることと、もし、薬の副作用でなにかあった場合の損害が大きいこと、風邪は自然に治る病気であることからです。
代わりに1歳以上であれば、ハチミツとヴェポラップをお勧めすることが多いです。ハチミツは安物ではなく、純粋のハチミツ(水飴などでのばしていないもの)を用いてください。研究もいくつかされていて、偽薬よりも効果があるということです。飲ませ方は寝る前にティースプーン1~2杯を水とともに飲ませます。そうすると夜間の咳症状が改善し、お母さんもお子さんもよく眠れたということです。実際に私の妻は大人ですが、風邪の時にハチミツをなめて寝ると、咳が楽になったということでした。
また、漢方薬も希望であればお出しすることがあります。

じゃあ、医者に行く必要ないんじゃないの?と考えられるかもしれません。実はそうなんです。特にお子さんは食事も水分もとれて、意識もはっきりしていれば、ほとんどの場合、問題ありません。しかし、市販の風邪薬も飲ますべきではないといわれていますので、ご注意ください。

かぜの仲間に中耳炎や副鼻腔炎(いわゆる蓄膿)があります。実はこちらも軽症なら抗生物質を使わずに経過観察できます。

どうでしょうか?なんとなく理解していただけましたか?
研究があるということを書いていますが、科学者なら本来は参考文献を記載すべきなのですが、面倒なので省きます。医療者の方であればgooglePubMedなどお調べになればすぐに出てくると思いますので、お手数ですがそちらでお調べください。もし間違っていればお教えください。

写真は風を感じる?鳩間島です。

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