前回、アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)のお話をしました。前回にもでてきたACPのタイミングについてです。
実際にどのタイミングで話しあい始めるのがいいのでしょうか?
家庭医の中では家族カンファレンスをすべきタイミングというものがあります。
①入院
②終末期ケア
③高齢者の入所
④患者のケアを障害している家族の葛藤や機能不全
(『家族志向のプライマリ・ケア』S.H.マクダニエル著、松下明訳。シュプリンガー・フェアラーク東京より引用)
上記に準じるとACPを始めるのは①、②が望ましいと考えられます。それと③を考えるときにも必要でしょう。
①は特に超高齢者の場合や急性の重症の病気、慢性の病気の致死的な症状悪化、終末期の病状の悪化の場合です。
②は終末期の病気と診断された時です。ACPとは異なりますが、患者さんがお亡くなりになられたときもご家族と会うのは必須とされています。
③は高齢者の施設への入所を考える時に同時にACPを行うのも良いと考えます。患者さんがどのような余生を過ごしたいのかを基準にどうするかを決めていくと良いと考えます。
なぜ、このタイミングかというと、あまり早い時期にしてしまうと真剣に考えづらいということと、遅いと患者さんがきちんと話し合う能力を失ってしまっていたり、ショックが大きいということにもなりうるからです。
①や③の場合、遅すぎになる懸念もありますが、その段階になってACPをしないという選択肢はもうないとも考えられます。
ですので、割と元気なうちから、でも、自分がやがて死ぬことも実感できる段階になったら始めるのがベストといえるのでしょうね。
では、それはいつなの?ということになります。
・患者さんが今後どうなっていくかを話す時。
・成功の可能性が低い治療について話し合う時。
・希望と恐怖について話し合う時。
・患者さんが半年〜1年以内に死亡しても医師が驚かない場合。
(『終末期医療のエビデンス』ステファン・J・マクフィーら著、日経メディカル編。第1章表1−1より参照)
が良いタイミングと言えるでしょう。
そして、人の気分や考えは変わるものなので、折りをみて時々、話題にあげるのがよいと思います。
そして、毎日1日1日を丁寧に生き、その日1日が良い1日だったと言えるように生きれるといいですね。日々是好日ですね。