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院長ブログ

クリスマスシーズンだから、やさしい世界について考えよう

2024/12/10

 突然ですが、みなさんは経済格差が健康格差につながることはご存知ですか?
簡単に言うと、お金持ちは寿命が長く、所得の低い人は寿命が短くなる傾向があると言うことです。

これは単純にイメージがつきやすいかもしれませんね。お金持ちほど自身の健康に気を使いやすく、そのためにお金を投じることができる。一方で低所得の人は健康に投資する余裕がなく、健康への興味が低い。しかも、タバコやお酒などの依存性のある嗜好品を好む傾向にあり、ジャンクフードをより頻繁に食べる傾向があると言う統計結果があります。

個人の問題で言うと上記の通りなのですが、超富裕層のアメリカ人が平均的な日本人よりも寿命が長いかというとそうではないのです。なぜでしょうか?それは社会全体の経済格差が寿命を短くすると言うことを示しています。多くの貧困層が富裕層の足を引っ張っている形をとるからです。

病院には低所得層の方が多く受診、入院することになります。いっぱいの病院には治療を早期に受ける必要があっても、そのために早期に治療を受けることができないと言うことが生じる。そのためにお金持ちでさえ治療が遅れ寿命が短くなるとも考えられています。

では、せっかくお金持ちになったのに低所得者のせいで寿命が短くなると言い切れるでしょうか?努力しない貧乏人が悪いと言い切れるのでしょうか?これには実は複雑な問題があります経済格差。画像 2/4

「親ガチャ」と言う言葉が少し前に流行りましたが、これはおよそ真実を言い当てていると言えます。

出自の影響はとても大きいです。極端な例を挙げると虐待する両親だったとします。虐待されて育った子は自己肯定感が低く、努力しても報われないという教育を親から受けることになります。そのため、努力しても無駄、自分は能力の低い人間だと考えるようになり、精神疾患を発症しやすく、社会にもうまく適応できなくなりやすい傾向を持ちます。

その虐待する親はなぜ生まれたのでしょうか?関係するものとして社会からの孤立、貧困、教育の低さ、精神疾患の存在、アルコールを含む薬物依存などです。高学歴で裕福な家庭でも虐待は起こり得ますが上記の要因に比べたら発生頻度は低くなります。

虐待親でなくても、貧困家庭では親の自己肯定感、自己効力感が低く、どうせ自分たちの子は大した能力がないとあきらめ、全く期待せず、子供への教育投資をしない、する余裕がなくなることも考えられます。

こうして貧困の連鎖が生じ、子々孫々と貧困が受け継がれていきます。

では、どうすれば格差を少なくし、みんなで豊かになることができるでしょうか?

少なくとも必要と考えられることは全ての子供達への安全で心休まる家と十分な食事。そして、教育です。

7歳までにたくさん話しかけて、言葉の能力をみんなで高めてあげましょう。

学校教育について来られない子供達にはしっかり、周りの大人やお友達がサポートしてあげる必要があります。

学費が理由で高等教育を受けられない、大学に進学できないなどがないようにすることが重要ではないかと考えます。

両親が社会から孤立しないように、ご近所さんで声をかけ合いましょう。

貧しい親がいれば社会的なサポートを受けられるように助言など手助けしてあげましょう。

すべての人が十分な教育を受け、自己肯定感、自己効力感が高く、ほとんどの他人を信頼できる状態であれば、経済基盤がもっと成長すると考えられます。そして社会全体が豊かになるでしょう。それは優しさがもたらしたと言えると思います。

ちょっとだけ”おせっかい”なくらいが丁度いいのかもしれません。

格差をへらし、みんなで豊かになるには人に優しい社会をみんなで目指しましょう。クリスマスらしい絵。画像 2/4

参考図書
イチロー・カワチ, 『命の格差は止められるかーハーバード日本人教授の、世界が注目する授業』 小学館新書
近藤克則, 『健康格差への処方箋』医学書院

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