神戸市北区北鈴蘭台駅前の内科・小児科・外科 こさか家庭医療クリニックです。

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院長ブログ

家庭医としての初心を思い出させてくれた本

2015/04/02

DSC_0504ある患者さんにお借りした本を読みました。どういった意図でこの患者さんは私にお貸しくださったのか想像しながら読みました。

題名は『笑いと治癒力』ですが、著者が本当に伝えたいことは3点あると読み取りました。それは、

1.患者自身が治療に積極的に参加することで治癒力が高まると考えている。
2.良好な医師―患者関係が治療に良い影響を与える。
3.医師は患者の自然治癒力を信じ、それを妨げないようにすべきである。

の3点です。「患者中心の医療」、「生物心理社会モデル」を別の言葉、別の経験から表現しているようにも見えます。家庭医の我々からするととても共感できる内容でしたし、著者はジャーナリストながら、「ニューイングランドジャーナル」や「ランセット」といった医学雑誌を読み、深い造諮があり、当時のそこいら辺の医者よりも最新の知識をもっていたのではないかとうかがわれます。

著者は薬には当然副作用があり、治療するはずの薬が体に悪影響を及ぼしている可能性もあると書いています。確かに同感で、現在でも特にお年寄りの多剤内服が問題になっていたり、風邪に対して、いまだに抗菌薬を処方しないように改めて強調されたりしています。

私はしばしば患者さんにたくさんすぎるお薬は体への危険性が高まるから薬を減らしましょうと話すことがあります。そうしたことから、この本を貸してくださった患者さんは私と同じことを話しているので、私に貸してくださったのかと考えました。または、もっと上記3点をしっかりやってほしいというメッセージなのかもしれません。

最近、忘れかけていたように思うので、はっとしました。また思い出して、良い診療ができるよう努力していきます。

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