神戸市北区北鈴蘭台駅前の内科・小児科・外科 こさか家庭医療クリニックです。

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生理が辛いのは治療できます

2025/03/10

 比較的若い女性が風邪や頭痛などで受診された時に、生理は辛くないか?と聞いてみると、生理のたびに痛み止めを飲んでいるという答えが返ってくることがあります。日常生活も辛いくらいの生理を月経困難症と言います。

 また、貧血で受診される女性のほとんどは生理の出血量が多いことです。これを過多月経と言います。

 どちらも非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェンやイブプロフェンなど)は良い鎮痛剤です。また、定期的な運動や生姜、魚油、ビタミンB1、亜鉛などのサプリメントの摂取は有効かもしれません。そしてどちらも、妊娠を望んでいないのであれば低用量ピルの内服はとても有効な治療法です。

 低用量ピルの内服ときいて、あまりいいイメージを持たない方もいらっしゃいます。低用量ピルの副作用には吐き気や倦怠感、頭痛、不正出血などがあります。また、重大なものでは喫煙者に特に静脈血栓症になりやすいというものがあります。

 逆に妊娠しなくなり、生理の痛みを軽くしたり、出血量を減らすだけでなく他にもいくつか良い点があります。それはニキビの改善、骨密度の改善、子宮体がん・卵巣がん・大腸がんのリスクを減らします。また、月経前の不快な気分を抑えてくれます。

 月経困難症や過多月経の原因がなんであれ、内診なしで低用量ピルを処方することは可能なのでお気軽相談していただきたいと思います。

ただし、過多月経が良くならない場合は出血しやすい病気などの存在やがんの存在(特にリスクの高い方)が疑われるので専門医にきちんと調べてもらう方が良いでしょう。

 とはいえ、ほとんどの方がそういった病気をお持ちでないので、現在、妊娠を希望しておらず生理が辛い、貧血に悩まされている女性の方はピルの使用をご検討されて良いと思います。

 最後にピルを飲んでいる間は99%妊娠しませんが、梅毒やクラミジア、HIVなど性病の予防はできないので、性交渉するときは必ずコンドームを着用するようにしましょう。

家庭医の強みの一つ「曖昧なことを曖昧なままで」

2025/03/01

 先日の「ケアとまちづくり未来会議」で印象に残った言葉の一つ「リミナル(境界、中間的なという意味)」。われわれ、家庭医の仕事はこの「リミナル」を得意としているなと感じました。

家庭医の専門性の一つに「未分化な健康問題を扱う」というものがあります。未分化な健康問題とはまだ診断がつけられないような状態、症状のことです。あるいは大人でもない子供でもない思春期もリミナルですね。または妊娠中もそうかもしれません。これから親になるけど、まだなっていない状態です。

未分化な健康問題は実は頻繁に出会います。家庭医で扱えるのは軽度の状態ですが、生活に障害が出ていて重度であれば、疑わしい専門科に紹介します。それでも診断がつかない、あるいは日常生活に支障があるというほどではないが、気になるといった状態でも家庭医で扱います。

継続的に長期間診察していくと、診断がつくこともあります。もちろん、そうでない場合もあります。こうした曖昧な状態を曖昧なまま診ていく。これができるのが家庭医の強みの一つであります。

診断がつかず、治療法もなく、不快な思いが続き、その症状が医療で解決できなかったとしても、患者さんの症状や思いを聴きながら、試行錯誤しつつ付き合っていくことができる。それが家庭医の強みの一つです

まちづくりを通してケアを考える

2025/02/26

2025年2月22日『ケアとまちづくり未来会議』が阪急三宮の駅ビルにあるANCHOR KOBEにて開催されました。われわれ、こさか家庭医療クリニック・こさか訪問看護ステーションも協賛として参加してまいりました。

全国からたくさんの参加者が来られており、私たちのブースの隣は町田市から来られたまちの丘病院の方々、隣は徳島の神山町から来られたおうち診療所の方々でした。

第一部はケアするまちに潜るー長田からなぜー

長田区の介護付き高齢者住宅『ハッピーの家ろっけん』の首藤義敬さん、長田区のゲストハウス『とまりぎ』の小笠原舞さん、兵庫教育大学大学院学校教育研究科准教授の永田夏来さんらがスピーカーとしてお話しされました。

第2部はコミュニティデザインする。ケアしケアされるカタチを探る。竹端寛さん(兵庫県立大学)田北雅裕さん(九州大学)内田友紀さん(都市デザイナー)らがスピーカーとしてお話しされました。

 そのほか、間の時間にも地域で様々な活動をしている方の発表を聞くことができました。特に印象に残った言葉として「枠をはずす」「あいまいな空間・リミナル」でした。「枠をはずす」はハッピーの家ろっけんの首藤さんが頻繁に語っていた言葉で、「病気や認知症」などといった枠を外してみる、高齢者住宅という枠を外してみると面白いことが起きるというようなことを話しておられました。また、「あいまいな空間・リミナル」はその結果として生まれるようなもので兵庫教育大学の永田さんが話しておられました。あいまいな空間にいると自然と役割が生まれるといった内容だったと思います。また、この話で思い出したのは年はごちゃごちゃとした路地がないと人が集まらず発展しないという話を聞いたことがあり、似ているなと思いました。

 ごちゃごちゃした楽しい空間は一見落ち着かないようで、そこに人が集まれば自然と何か面白いものが生まれてくる。

 当院も一度、クリニックという枠を取り払って何か面白いことができないか考えたいと思いました。例えば、一般の待合は図書館にするとか、カフェにしてみるとか?何か、人が面白そうだから、楽しそうだからと集まるようなスペースを作ってみたいですね。

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