一般にコレステロール・中性脂肪が高い状態をかつては高脂血症と呼ばれていましたが現在は脂質異常症と呼ばれます。
厚生労働省の調べでは日本人成人のだいたい5人に1人がかかっていると言われています。
脂質異常症があると心筋梗塞などの冠動脈疾患の危険性が高くなり、LDLコレステロール値を下げることでその危険性を減らすことができます。
診断は日本動脈硬化学会では空腹時(10時間~12時間の絶食後)の採血でLDLコレステロール値が140mg/dL以上またはHDLコレステロール値が40mg/dL以下または中性脂肪が150mg/dL以上とされています。
診断基準値はスクリーニング目的のものであり、薬物療法開始の基準ではないとされています。
一方、生活習慣病先進国アメリカのガイドラインでは個人のリスク(冠動脈疾患・糖尿病・高血圧・喫煙の有無、性別、年齢、人種)とLDLコレステロール値と総コレステロール値から評価して、薬物療法の適応を判断します。
日本のガイドラインでは明確な基準はありませんが、その人のリスクを判断するNIPPON DATA80では40歳~74歳の男女を対象としています。
アメリカのガイドラインでも40歳~74歳の男女となっていますので、基本的には40歳を迎えたら検査をするのが良いでしょう。
その他に若い糖尿病を持っている方や50歳以下で突然死した2親等以内のご家族をもつ方、家族性高コレステロール血症の疑いのある方などが対象となります。
基本的には予防も治療も生活習慣の改善になります。
日本のガイドラインでは
となっています。
最近では摂取する動物性脂肪は問題ないが、炭水化物の摂取を控える方が重要であるという説もあります。
炭水化物は体内に吸収されて、エネルギーなどに使われますが、使われなかった残りはコレステロールとして体内に蓄えられ、こちらの方が血糖値や血中コレステロール値に与える影響が大きいとする考え方です。
まずは適正な食事量と1日5分からで良いので運動を習慣づけ、禁煙するように心がけましょう。
脂質異常症の薬物療法には主にスタチンと呼ばれる種類のお薬を用います。
このお薬が最もLDLコレステロール値を下げることができ、冠動脈疾患を予防できるとされています。
その他にコレステロールや中性脂肪を下げると言われている薬はありますが、最も重要な冠動脈疾患の予防効果が明確に示されているお薬は今のところありません。
また、75歳を超えた患者さんに投与した場合の研究も乏しく、冠動脈疾患やリスクが高くない限りスタチンは不要という考え方が主流です。
一度お薬を飲み始めると一生お薬を飲まないといけないのではないかと考えておられる方にお会いすることがあります。
生活習慣の改善がなく、LDLコレステロールの値がうまくいかなければ飲み続けなければならないでしょう。
しかし、冠動脈疾患や糖尿病、脳梗塞になったことがなく、リスクが軽度から中等度の方で生活習慣が改善し、LDLコレステロール値が長期間良好ならば中止も検討してよいと考えています。
もし、お薬を中止したいとお考えであれば医師に相談することをお勧めします。
脂質異常症は治る病気です。
18歳以上で収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上か拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上ある場合、あるいは60歳以上で上の血圧が150mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上ある場合に診断されます。
診断には自宅での血圧測定が重要で、診療所や病院だと緊張して血圧があがってしまう方がおられるからです。
また、血圧計は手首で測定するものよりも、二の腕で測る機械の方が精確です。
高血圧を放置すると、心筋梗塞・心不全や脳卒中をはじめ、目が見えにくくなったり、腎臓病になる危険性が高くなります。
予防も治療も基本は生活習慣の改善です。
日本のガイドラインJSH2014では、
と推奨されています。
この塩分摂取量は海外と比較して多めの設定とも言われています。
かなり薄味に感じるかもしれませんが、しっかりとだしを利用することや、香辛料を用いることでおいしさを保つことができるそうなので、一度、料理本などみて研究されると良いでしょう。
また、血圧は上記の他に精神的ストレスの状態も影響します。
十分な睡眠がとれており、気分が安定していることも重要だと考えます。
お薬の選択肢にはサイアザイド系利尿薬、カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、β遮断薬があります。
それぞれに特徴があり、患者さんにあったものを選択していくことになります。
よく、一度お薬を飲み始めると一生薬を飲まないといけないと考えている方にお会いします。
生活習慣が改善していなければ、そういうことになるでしょう。
しかし、生活習慣を改善されて、血圧も長期間良好で、心疾患や腎臓病がなければお薬をやめることも検討して良いです。
もし、何年間も血圧が落ち着いているのであれば医師に相談してみることをお勧めします。
高血圧症は治る病気です。
まず、糖尿病には1型と2型があります。
1型は生活習慣に関係なく、自分でインスリンを出せなくなり、血糖値が慢性的に高くなる病気でインスリン注射が必要です。
2型糖尿病は生活習慣が原因でインスリンを出しているのに不十分で慢性的に血糖値が高い状態を言います。
アメリカ糖尿病学会の診断基準は
のいずれかに該当すれば糖尿病と診断されます。
糖尿病を放置すると、心筋梗塞、脳卒中、失明、腎不全で透析、足壊疽(足がくさる)、感染症、勃起不全の危険性が高くなります。
治療は血糖を正常に保つだけでなく、血圧、コレステロールも適正に保って、ようやく上記の病気の予防効果があります。
2型糖尿病はこのように血圧、脂質も注意して治療しないといけないので生活習慣病の王様ともいえます。
予防も治療も基本的には生活習慣の改善です。
以上のようなことが推奨されています。
糖尿病と診断された場合、薬物療法を開始します。
冠動脈疾患の予防、死亡率減少効果に有効であると示されている薬はメトホルミンと呼ばれる種類のお薬とインスリン注射のみです。
その他のお薬は血糖を下げる効果は示されていますが、最も肝心な冠動脈疾患や死亡率を有意に減少させるかは明らかでないのが現状です。
メトホルミンは古典的な薬であり、安価であることもメリットです。
以上から薬物療法の基本はメトホルミンを使用することになります。
このお薬は高齢者や心臓、腎臓が悪い方に使用する場合は十分な注意が必要です。
メトホルミンと生活習慣改善でうまく血糖をコントロールできなければ、その他のお薬を追加するか、インスリン注射を併用することになります。
私のおすすめはメトホルミンだけでうまくいかない場合は早期にインスリン注射を使用したほうが、血糖コントロールはうまくいくと考えています。
医者は糖尿病を改善し、合併症を予防するために以下の指標を用います
生活習慣と血糖値が改善され、長期間維持されれば血糖を下げるお薬をやめることも検討します。
また、インスリン注射も同様に状態が良ければ、中止や内服薬に変更することも可能です。
2型糖尿病は治る病気です。